SPD(-SL)のメンテナンスとシャフトの錆び修復

ビンディングペダルシャフト メンテナンス
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ビンディングペダルのオーバーホールがそろそろ必要な事と、シャフトの錆びが気になったので合わせて行いたいと思います。

今回はSPDペダルを使っての作業となりますが、SPD-SLペダルも構造は同じため同様に作業することができます。

分解&清掃&錆び塗装

まずはペダルシャフトの錆び状態の確認です。
ビンディングペダルの錆び

手前側に写っている左ペダルのシャフトの方が錆が酷い状況です。

左の方が錆びている原因を推測すると次の2つが考えられます。
・ビンディングシューズの脱着は左を主に行うので、左ビンディングの劣化が進み、その錆びをもらってシャフトも錆びが進んだ
・左シャフトの先にケイデンス用の磁石を付けているため、磁力の影響で錆びやすい

では実際に作業に入りたいと思います。

ペダルを足で押さえて、シャフトの先に六角レンチを取り付けてペダルを取り外します。
ビンディングペダル外し

この時に足と手の両方にうまく力がかかる位置にクランクを持ってくることが大事です。

また、六角レンチには一気にクッと力を加えた方が緩みやすくなります。

左足ペダルを外す際は、ネジ山が逆になるので注意しましょう。

ペダルを外した後のクランクネジ穴をパーツクリーナー等で清掃しておきます。
クランクの清掃

グリスアップして取り付けますが、汚れているとその汚れにより固着してしまうため綺麗にしておきます(この部分のグリスは耐久性のあるものを)。

ペダルを分解するにはスパナが必要なんですが、サイズが無かったのでモンキーレンチで代用します。
ビンディングペダル分解

モンキーレンチはきちんと押さえられる品質の良い物でないとネジの頭をなめるので、道具は選びましょう。

シャフトを抜き取るとこのような状態になります。
ビンディングペダルシャフト

シャフト先にあるナットを10mm7mmのスパナで緩めます。
ビンディングペダルシャフト分解

このネジも左ペダルではネジ山が逆になっているので注意。

パーツをばらすとこのようなパーツ構成になります。
ビンディングペダルシャフト

ペアリングの玉は軸の2か所に12個づつあり、同型のもので清掃時に混ざってしまってもかまいませんが、摩耗具合など気になる人は分けておくとよいでしょう。

先ほどのパーツ構成のうち写真のようなパッキンが筒の中に残っていたため写真に写っていませんでした。
ビンディングペダルシャフト

他にもグレードにより追加でパッキンやリングがあったりします。

各パーツはパーツクリーナー等で汚れを取り去ります。

シャフトをとりはずしたペダルの穴内も綺麗に清掃します。

シャフトの錆びはサンドペーパー等で磨いて、パーツクリーナーで表面をきれいにします。
ビンディングペダルシャフト

塗料がかかってほしくない部分にマスキングをします。
ビンディングペダルシャフト

ネジ部とベアリング入る部分は厚みが変わると嫌なのでマスキングしています。

そしてペンキをスプレーするとこのように綺麗になります。
ビンディングペダルシャフト

組み立て

ペンキが乾いたら組み立て開始します。

使用するグリスはフィニッシュライン プレミアムテフロン強化グリースです。
フィニッシュライン プレミアムテフロン強化グリース

標準となるシマノのグリスに比べて柔らかいので回転はスムーズになりますが、耐久性は落ちるのでオーバーホールの間隔は短くなります。

まずはシャフトにパッキンゴムを装着して、その上にグリスを適当に塗りつけます(先端ネジ部は除く)。
ビンディングペダルシャフトにグリス

適当な量としたのは後半で理由を説明します。

次のパーツを取り付けて、シャフトとの隙間にグリスを詰めます
ビンディングペダルシャフト

ここにベアリングの玉が当たるのでグリスを詰めておきます。

ベアリングとなる筒の片側にグリスを敷いて、そこに玉を隙間なく並べていきます。
ビンディングペダルシャフトの筒

並べ終わったら、玉の上にもグリスを塗りつけて、シャフトに差し込みます。

差し込み途中で玉がシャフトに触れたりしてずれてしまったらやり直しになるので、シャフトの真ん中にずれなく入るようにします。

筒の反対側にもグリスを敷いて、玉を隙間なく並べます。
ビンディングペダルシャフト

玉の隙間にグリスを詰めます
ビンディングペダルシャフト

シャフトの先端にネジを2つ取り付けます。
ビンディングペダルシャフト

1つめのネジの締め付け具合がベアリングの玉当たりを決定するので、硬すぎず緩すぎずに調整します。

2つめのネジは1つ目のネジの緩み止めなので、1つ目を押さえながらしっかりと締めこみます。

これをペダルに差し込めば終了なのですが、差し込み時のネジが玉当たりのネジの逆側から押すために装着後に回転の硬さがいくらか変わったりします。

不適切な硬さになった場合は、抜き出して1つめのネジの締め具合を変える必要があります

作業上のノウハウ

◆途中の説明でグリスの量を適当としたのは、ベアリングの周囲が密閉されていないのであまり多く詰め込んでも意味が無いと思ったからです。
ビンディングペダルシャフト

実際に新品時にばらした時にも、それほどグリスは詰まっていませんでした。

◆ベアリングの玉は小さいので手で並べるのは困難です。

私は精密ドライバーのマイナスの先にグリスをつけて、その粘着力で1玉ずつ並べました。

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◆私は玉当たりは緩めに組んでいます。

何故ならペダルがいつでも瞬時に上をむいて、クリートがはめやすいようにするためです。

ただし緩すぎると劣化を早めますので、ほどほどに。

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