先日届いたホイールですが、やっと振れ取りが終わって使用できる状態になりました。納品時の状態は前の記事でも紹介した通り、そのまま使えなくもないがずれが出ているため振れ取りを行いました。
基本的にメーカーから届いたままのホイールはある程度振れが出ているのが普通の事です。ショップ経由で購入した場合には、ショップにて振れ取りを行ってから納品するものです。
ところが振れ取りを行わないショップや、下手に触って状態を悪化させてしまっているショップもあるので注意しましょう(注意しろと言っても力量にかかわる部分なので判断は難しいと思いますけど)。
今回は、振れ取りについて作業内容をもとに説明したいと思います。
準備する工具
振れ取りを行う上で必要な工具は次のようなものです。
①ニップルレンチ
②スポークホルダー
③センターゲージ
④潤滑油
⑤振れ取り台・・・無くてもできる
⑥スポークテンションメーター・・・無くてもできる
それぞれについて説明します。
◆まずはニップルレンチ(右の3つ)です。振れ取りには必須アイテムです。
もともと一般的な右の2つを所持していたのですが、今回はホイール内蔵型のニップルのためこれでは対応できないため真ん中のタイプを追加購入しました。
ニップルレンチはいろいろな形のタイプがありますし、ニップルのサイズによっても使い分けしないとなりません。条件にあった使いやすいものを下記より選んでみると良いでしょう。
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◆つぎにスポークホルダーですが、これはニップルレンチでニップルを回して調整しているときに、スポークが一緒に回ってしまわないようにする道具です。
ただし、私はペンチのかみ合わせ部にゴムを貼って代用しています。
それほど高価な品でもないので、専用品を買ってしまった方がやりやすいかもしれません。明らかに専用品を買った方がいいです。私は買いました。
◆つぎに潤滑油ですが、スポークとニップルが固着しているとうまく回らないため使います。ただし、いつまでも潤滑な残ると走行時に緩みやすくなるので揮発して短時間の効果しか無いものが適しています。手近なところではCUREの556などで良いでしょう。
◆つぎにセンターゲージですが、これはホイールのセンターがどれほどずれているか確認する道具です。計測して代用できなくもないですが、面倒な上に正確でなくなるので購入することをおすすめします。
センターゲージを選ぶ際に、矢印の部分がぐらつかずに安定していて平らなものが理想です(ゆえに折り畳み式などは不適だと思われます)。できれば全体が金属製であることが理想ですが、そのようなものはプロ仕様となり利用頻度の割りには高価なので、私はこの製品を選びました。
◆つぎに振れ取り台ですが、これは無くても作業可能です。むしろ安物だとホイールを乗せる部分が安定せず使いにくくなります。私は自転車を逆さにして代用しています。
ただ、折角なので購入したいと思われる方はできるだけ高価なものを購入ください。
◆最後にスポークテンションメーターですが、これは各スポークの張り具合を見るものですが、数値は暫定的なものでしかなく手で触ったたわみ具合でも判断できます。ただ、数値があった方が安心の方は用意しておくとよいでしょう。
ホイールセンター出し
ホイールセンターが5mm近くずれていたフロントホイールのセンター出しを行います。
通常のホイールならリムからニップルの頭が出ているのでその部分を回せばよいのですが、このホイールはディープリムでニップルの頭が出ていません。
そのため裏側からニップルを回さなければならないため、まずはリムテープを外します。バルブ穴のところから、そっとリムテープを持ち上げます(再利用のため)。
持ちあがったら指でつまみどちらかにずらしていきます。
ここまでずらせれば元に戻ることはないので、傷つけないように慎重に外してしまいます。
外し終わったら各穴のニップルに軽く556を噴射します。内蔵型の場合は後でふき取りできないので噴霧しすぎないように。
つぎにセンターずれを直すために、スポークの片側を緩めて、もう片側を緩めた分だけ締めます。順番は先に緩めて、後から締めるようにします(逆だと全体が張りすぎて負担かかるため)。
どちら側を緩めるのかと言えば、センターゲージとの隙間が空いていた方を緩めます。何故なら緩めることでスポークの長さが長くなり、その分だけハブが外側に寄るためです。
作業開始前にスポークに目印をつけます。スタート地点に養生テープをつけて、1周の終わりがどこか間違えないためです。
それでは調整開始します。スポークが回らないようにペンチで挟み、ニップルレンチを差し込んで準備完了です。ここからどの程度緩めるかですが、ずれの大きさによって加減します。今回はずれが大きいので1/2回転(180度)回します。
1度に回す量は最大でも1/2回転くらいまでにしておくと良いでしょう。
緩める方向と締める方向はホイール外側から見た場合は写真の通りで、覚え方はネジと同じだと考えると簡単です。ネジは時計回りに回せば締まるし、反時計回りなら緩みます。
緩める側すべてのスポークを1/2回転づつ全て緩めます。次に反対側に目印をつけ直して1/2回転づつ全て締めます。
センター位置を確認してみたところ、まだ同じ方向にずれているのでもう1/2回転同じ方向に調整しました。すると今度は行き過ぎて逆方向にずれたため、1/4回転それぞれ戻しました。最後に1/8回転以下の微調整を実施。
この調整の結果、センターずれは解消されました。
縦、横の振れ取り
本来は、縦・横の振れ取りを行った後にホイールセンター調整を行って終了するものです。今回は縦・横の振れは事前の確認でありませんでしたので、ホイールセンター調整で終わりとなるはずでした。しかしながら大きくいじってしまっているため、縦・横の振れを再度確認します。
振れ取り台を使わなくても、自転車を逆さにして下記のようなもので確認できます。
実際の状態は次のようになりました。
テープの揺れや隙間の変化も無いため、縦振れは出ていないと判断しました。
次に横振れについては次のような状態でした。
一部でテープとの隙間が広がっています。
この程度だと無視しても影響ないのですが、私は調整します。まずは隙間が開く範囲を特定します。開き始めと終わりの位置に目印をつけます。
今回の場合は、目印の範囲が画面の奥側にずれているので手前側にくるように調整します。そのためには奥側のスポークを緩めて、手前側を締めます。
どのように調整するかは下記を参考にしてもらうと分かりやすいかと思います。調整範囲に偶数のスポークがある場合(図の上側)は中心の2本の調整量を1/2回転と大きくして、外側にいくほど調整量を少なくします。
※青いスポークと黒いスポークは手前側と奥側のスポークを色分けで表しています。
調整範囲に奇数のスポークがある場合(図の下側)は中心の1本の調整量を1/2回転と大きくして、外側にいくほど調整量を少なくします。
この調整量はずれの大きさによって変わってきますが、一度に回す量は最大でも1/2回転くらいにしておいた方がよいでしょう。確認と調整を繰り返しながら振れを取っていきます。
ちなみに今回はずれが小さかったので1/16回転程度しか回していません。
後処理
振れ取りが終わりました後処理を行います。
まずはスポークの確認です。ニップルを回す際にスポークが回らないように押さえていましたが、回ってしまったり、ひねりが入ってしまったところがあります。
それらを正しく戻してあげます(空力を考えた板状スポークの場合は重要)。
この時、ニップルは押さえないで供回りするようにします。
最後にリムテープを元のように装着します。その時にビニールや古いリムテープなどを挟んでおくと便利です。
なぜならリムテープを最後にはめ込んだところがよれた際に、ビニールをそこまで滑らせてくれば簡単によれが解消されます。
また、バルブ穴とテープ穴がずれますが、テープを動かしたい方向にビニールを引っ張りながら一周させるとずれが解消されます(ダメならさらにもう一周)。
リヤホイールについては、ホイールセンターが微かにずれていただけなので今回は調整しませんでした。
ちなみにリヤホイールの振れを調整する際は注意が必要です。片側にフリーハブがあるために最初からスポークの長さが異なっています。そのため、片側を1/2回転させたら反対も1/2回転とするわけにはいきません。フリーハブがある短い側は多く回してあげないと釣り合いません。どの程度の比率で回すかは様子を見ながら加減します。
その反面、一度調整がきちんとできてしまうと振れが起きにくいようです。
以上が振れ取り方法となります。慣れてくれば1時間ほどで前後輪の調整ができるようになりますが、不慣れだと何時間もかかったりします。また、不器用な方だと時間をかけても良い仕上がりにならない可能性がありますので、自らの器用さと相談の上チャレンジしてみてください。
分かりにくい点などはコメントいただければお答えします。
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